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大河内山荘 [建築&アート情報]

先週末に嵐山まで小旅行へ行ってきました。そのついでに大河内山荘を見に行きました。大河内山荘は時代劇俳優の大河内傳次郎が永く消える事の無い美を求め自身で設計し、庭の造営を始め、30年の歳月をかけて作りあげたものとのこと。その面積2万坪。IMGP3157.JPG 

滴水庵と前庭 :苔の中をアプローチに導かれます。滴水庵のスケール感に不思議な違和感を感じます。良い意味で。

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大乗閣 :少し床を上げ、むくりのついた屋根と水平線を強調した屋根の対比が絶妙です。

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持仏堂

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庭を散策というかほとんど山歩きのような感じでへとへとでしたが、とても勉強になりました。

 


伊勢神宮 式年遷宮記念せんぐう館 [建築&アート情報]

栗生明設計の式年遷宮記念せんぐう館が出来て1年。漸く見に行く事ができました。栗生明は宇治の平等院鳳凰堂の宝物館や岡崎市のマインドスケープ、兵庫県の植村直己記念館を設計した美術館や博物館設計で有名な建築家です。
せんぐう館は下宮の池の畔に建てられており、休憩所とせんぐう館がL型に配置されています。水平線の強調されたデザインはモダンで日本的でもあり綺麗に風景を切り取っています。少しボリュームが大きすぎるのが玉に傷ですが、プランも大変わかりやすく、綺麗にまとまった建築になっていました。展示物も伊勢神宮の建築について細かく紹介されており大変興味深いものでした。
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伊勢神宮の良さは自然の中に切り取られた人工的な余白“古殿地”がコンセプチュアルであり、日本人の宗教観にあった空間をつくっている所です。この建築や自然の不在が圧倒的な意味と力を与えています。
但し、20年に一度の遷宮時期では両方の敷地に新旧20年の時代差のある建物が建っています。片方は眩いばかりの檜の白木そのままの初々しい建物。もう片方は20年の年月によって苔むす灰色の建物。新旧が並列するこの時期だからこその風景に違和感と戸惑いを覚えつつも、遷宮について視覚で理解することができました。
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下)写真中央の鳥居の奥に新しい社殿が見えます。
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五十鈴川。心洗われます。金輪際イライラしません。
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創業明治42年の老舗牛料理屋、豚捨の牛丼。チェーン店と比べるからか無茶苦茶美味しかったです。

養老天命反転地 [建築&アート情報]

岐阜の左官屋へ行ったついでに養老天命反転地へ寄り道してきました。養老天命反転地は荒川修作とマドリン・ギンズによるプロジェクトで公園全体が作品として体験できるものです。初めて行ったのですがこれが中々新鮮でおもしろい。全てが斜めの床で構成されており、いわゆる空間体験のできる公園です。

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床が傾斜しているので何度もこけました。運動靴は借りた方が良さそうです。

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身体感覚が再編成される体験ができます。

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いいですね〜。こんなに自由に作ってみたい。

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宿命の家と名付けられた作品。ランドスケープデザインもおもしろいですね。

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茶室巡礼2《金森宗和、大江匤+中村外二》 [建築&アート情報]

O-houseの茶室設計にともない、休みを利用して茶室見学にいっています。学生時代に感覚のみで見ていた茶室を改めて見直すと今までとはまた違ったものに見えてきます。知識量やその時々の経験値で見方や見え方がかわってくる。年を重ねる事もそんなに悪い事じゃないようでです。

まずは金閣寺背面の高台にある金森宗和の『夕佳亭(せっかてい)』。茅葺き寄せ棟に大きな口(開口)があけられたキュートな外観です。まさに峠にある茶屋といった趣き。この大きな口から直接土間へ入ります。
土間を隔て正面に南天の床柱を持つ3畳の座敷、左に茶道口。座敷裏に恐らく水屋といった間取りだと思われます。そこへさらに斜めに挿入された+2畳の上段の間がくっついた茶室です。公家との結び付きが強いということで勝手に落ち着きのあるイメージをしていましたが、金閣寺に負けない個性的な意匠になっています。素朴な茶屋の内部に入るとザ・デザイナー茶室。住職鳳林と宗和の遊び心が投影された茶室でした。o-houseの茶室も土間inなので大変勉強になります。
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京都岡崎にある細見美術館に併設された茶室『古香庵』。美術館は大江匤の設計で、茶室は中村外二棟梁の遺作になります。6畳2間の広間で、草庵な夕佳亭と比べるとかっちりした書院のようなつくりの茶室です。稽古などで不特定多数の人が利用する茶室はこれ位、節度ある普遍的な意匠の方が使いやすいのかもしれません。
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茶室から外をみると。。キャンティの庇が綺麗に岡崎の風景をきりとっています。大江匤の庇と組合わさることで他にはない唯一無二の茶室に仕上がっていました。こちらも土間in。勉強になります。
温かい季節に障子を開け放っての茶事がこの茶室にとって一番の使われ方だと思いました。
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細見美術館


茶室巡礼《小林一三、三代木津宗詮》 [建築&アート情報]

お花教室につくる茶室のプレゼンテーションに備え、大阪近辺で茶室の見学にいってきました。まずは近代数寄者の小林一三の邸宅“雅俗山荘”にある3つの茶室、“人我亭”と“費隠”それに“即庵”です。各々大きさも勝手も室礼も全く異なる3茶室を一度に見比べられる贅沢な場所です。
岡田孝雄(武田五一のお弟子さん)設計人我亭は奇をてらはないオーソドックスで使い勝手の良さそうな2間続きのお茶室。一家に一茶室なら偏固でないこういう機能的な茶室もありかもしれません。一方、京都から移築された近衛文麿が名付け親の費隠は奥行きの浅い室床をもつ2畳のコンパクト茶室。数寄をつきつめたい人用のセカンドカー的な茶室でしょうか。
最後の即庵は畳の周りに椅子を配した立礼用の茶室。大変珍しい茶室ですが素材のバランスが良く実験的ながらフォトジェニックな茶室。椅子はともかくL型に開かれた間取りは内で宇宙をつくる閉じた茶室にはない良さがあります。和室しかなかった時代には究極に閉じた茶室が非日常的ですが、和室のない閉じられた空間が連続する現代には外部に開かれた茶室も刺激的にうつります。時代や環境に即した茶室が必要だと改めて考えさせられました。
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費隠外観。コンパクトです。
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即庵。手前の椅子部分が写っていないのでわかりにくいですが。。  
久しぶりの小林一三記念館でしたが以前とは全く違った風景にうつり、大変勉強になりました。
逸翁美術館&小林一三記念館

帰りに三代木津宗詮設計の清龍亭を見に四天王寺へ。三代木津宗詮は大阪に本拠地を置く武者小路千家流木津家の三代目で大工の平田雅哉等とも交流のあった大阪の茶文化を牽引した茶人&茶室建築家です。昨年、大阪歴史博物館で回顧展が開かれ、三角形の茶室と長方形の水屋を組み合わせた清龍亭をみて是非直にこの目で見たいと思いきたのですが内部見学はできず。。窓も閉まったまま、雰囲気だけ胸にしまいながら。。          
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下)三代木津宗詮が使用していた高島屋の製図道具。 物として美しい。
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片山津温泉 街湯《谷口吉生》 [建築&アート情報]

片山津温泉に新しくできた谷口吉生設計の街湯を見学しにいってきました。湖に開いた潟の湯と湖の反対側に開いた森の湯の2種類のお風呂を奇数、偶数日で男女交互に楽しめる温泉です。
建築は正方形の2種類のお風呂の間にコアの入ったガラスの共用部を通したシンプルな構成で外観は豊田市美術館のアプローチと葛西臨海公園展望広場を足したつくりになっています。規模も然程大きくないのでこじんまりした印象です。お風呂内部はL型のお風呂一つにL型に切り取られた開口部のみで構成されており、スーパー銭湯のようなエンターテイメント性はなく、入浴が沐浴に近い宗教的な行為に思えます。旅館に多いデザイナーが入ったお風呂とも違う力強くも繊細な谷口建築に仕上がっていました。
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外観。
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共用部は受付とEV階段があり2階がカフェと休憩スペース。
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街湯ホームページより。光がお風呂に反射し天井を照らしており神秘的な空間になっていました。

京都八瀬 瑠璃光院《中村外二》 [建築&アート情報]

比叡山の麓、自然豊かな高野川沿いにたたずむ数寄屋『瑠璃光院』にいってきました。京都駅から30分程ですが空気が綺麗で川のせせらぎが聞こえる風光明媚な場所です。この辺り八瀬は古来より多くの効能がある“かまぶろ”で有名な場所で壬申の乱で背中に矢傷をおった天武天皇もこられたとか。。矢背=八瀬
そんな歴史の古い保養地にある三条実美公の庵を昭和初に数寄屋造りに改築したのがこの瑠璃光院です。建築は中村外二、庭は佐野籐右衛門。1階2階ともL型で開口部をとっているので内にいても建物の軽やかさが伝わります。室内外が連続し光の濃淡がグラデーションで続く空間。海外にはない繊細で趣き深い空間を感じることができます。春と秋のみの一般公開になっており、特に紅葉の名所でもあるので今からの季節がお勧めです。
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京都でも2階から眺めることのできる数寄屋は比較的少ないので、興味のある方は是非。
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京都府京都市左京区上高野東山55

透明方丈庵《鴨長明&隈研吾》 [建築&アート情報]

鴨長明が方丈記を執筆してから800年目ということで下鴨神社内に隈研吾氏設計の800年後の方丈が展示されています。接合部分にマグネットを使い解体・組立が簡単にできるモバイル建築です。
土地とセットになった建築は一生のうち一番高価な買い物です。だからこそ至れり尽くせりなものを望んでしまいがちですが、もしかすると土地と切り離した建築の方がずっと自由で潔いものがつくれるのかもしれません。
火災や大地震等、世の不条理は平安時代も今も共通。餓死こそ少ないもののより複雑で込入った社会を生き抜くのはなかなか過酷です。これを機会に800年前と今を照らし合わせながら方丈記を読み返したいと思いました。
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物自体の凄みはありませんがこういったフレキシブルな建築や住み方は東日本大震災を体験した日本において、また今後の人口減少社会を考えると一つの提案としては理にかなっている気がします。
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下)山下保博氏が日本トレーラー協会と共同でおこなっている東日本大震災の被災者への住宅供給プロジェクト「モバイル・すまいる」のトレーラーハウス。これも大きさは違えど現代の方丈庵のような住宅。ローコスト住宅の中で建売り以外の選択肢の一つになるかもしれません。
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トレーラーハウスやコンテナを利用した住宅も設計していきたいと思います。


厳島神社結婚式【宮島】 [建築&アート情報]

厳島神社で行われた親戚の結婚式に参加してきました。今まで入ったことのない内陣での結婚式です。御簾や建具等で全く仕切られていないので式自体は参拝客の目の前でおこなわれます。色鮮やかな朱色の空間と雅楽の音色がなんともいえない幽玄な場をつくっています。そして外陣にはカメラをもった多くの観光客。。。不思議な光景です。
海に浮かぶという世界でも珍しいコンセプチュアルな建築。潮の満ち引きで風景が変わり、回廊を歩くことで神に近づく奥を演出した空間。こんな世界屈指の名建築で契りを交わせる場に立ち会えたことが凄く光栄に思いました。何年後かになくなる建築と違って永遠に式を挙げた建物があり続けることも結婚式にはもってこいなのかもしれません。

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朱色に白無垢が映えます。美しい。天候にも恵まれた良い結婚式でした。
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レイヤーのように重なり合う空間。素敵です。
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日本の素晴らしさを再認識した一日でした。


広島市環境局中工場《谷口吉生》 [建築&アート情報]

先日、広島市環境局中工場へいってきました。大きなゴミ処理施設ですがニューヨークMOMAや豊田市美術館等多くの美術館を手がける谷口吉生の設計です。
巨大な施設を化粧でごまかすのではなく、工場そのままの外観とし中に“エコリアム”という誰でも無料で通れる通路を挿入しています。この通路を通り街から海岸沿いの公園に行く間に実際に可動しているゴミ処理施設を見学ですることができます。
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谷口建築の醍醐味は普段体験できない工場のような巨大な空間を繊細なディテールでみせること。美術館ではその空間を小さな部屋と連続させることで教会のような空間体験を味わうことができます。
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都市には誰もが入れる場所が中々ないのが現状です。公園と接続したこういう場所があるのは都市の魅力の一つになると思います。
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